エストポリス伝記
SFC、TAITO










家のおもちゃ箱を漁っていたらでてきた「エストポリス伝記」

昔プレイした記憶では、「かなりプレーンなRPG」といった印象だったのですが、

久しぶりにやってみると出るわ出るわ、バカゲー要素が。

ということで早速紹介!



闘システム

基本的には、コマンドを選択する戦闘です。

しかし、ターンの最初に全員の行動を選択するのではなく、

素早さの高い人にたくさんコマンドが選択権がくる、FF10のようなシステムになっています。

装備の重量(大体、防御力の高い装備が重くなってる)も素早さに関係してくるので、

重い装備で防御力をあげるか、軽い装備で何回も攻撃するかの調整ができるようになっています。


しかしこのシステムをさらにややこしくしているのが、コマンド入力直後に行動するわけではないということ。

コマンドがきて、回復魔法を選択したからといってすぐに回復呪文が使われることはないのです。

こうなると、敵の攻撃をビシバシ受けてから回復呪文を使うことになるので、

常に2手先の行動を読まなければいけません。


このシステムによって、目立ってくるのがゲームシステムの悪さ。

ファミコン時代のドラクエのごとく、死んだ敵に攻撃をしかけると素振りをする旧態依然のシステムなので、本当にストレスが溜まります。


例えばスライムとゴブリンが居たとしましょう。

まず戦士にコマンド選択が来ます。戦士はスライムに攻撃をするように選択しました。

次に勇者にコマンド選択が来ます。勇者もスライムに攻撃するよう選択をしました。

ここで実際に戦士がスライムに攻撃をし、倒してしまいますと…

次の勇者は、ゴブリンを攻撃するのではなく、死んだスライムに攻撃をしかけ空振りするのです。

コマンド入力直後に攻撃をするようにしてくれれば、こんな悲劇にはならなかったのに…


さらに、グループ化された敵に対して攻撃対象が選択できないというストレス要素もあります。

例えばスライムA・B・Cの群れがあったとき、主人公達は漠然とスライムとしか選択できません。

そっから誰が何を攻撃するかは、完全にランダムです。

(プレイした限りでは、AIが適切に攻撃を振り分けている感じには思えませんでした。)

普通、こういった状況ではA、B、Cと一体ずつ倒していくのが望ましいのですが、

Aを攻撃したりCを攻撃したり、フラフラしちゃうため余計なダメージを食らうことが多々あります。

…まれに、ボスでもグループで出てくるヤツがいて、相手が甚大な攻撃力を持っているのにもかかわらず

集中攻撃ができないのでなかなか倒せない、といったことになります。ストレス↑↑↑



使えない魔法

先述の通り、コマンド選択後から行動まで若干のタイムラグがあります。

そしてこのラグ、魔法を使う場合だと攻撃よりもかなり長めのタイムラグがあるのです。

終盤、全体魔法を覚えても、魔法が唱え終わる前に戦士系の人たちは2回ぐらい行動できるので、

敵はほとんど壊滅している中で全体魔法が使われるって状況がちらほら。

そして威力も…主人公たちが300ぐらいのダメージを与えられるのに対し、魔法では150ぐらいしか与えられず

このゲームにおいて魔法はかなり冷遇されている様子。

唯一の使いどころは、メタルスライム系の敵がでてきた際の、雑魚敵散らしぐらいでしょうか…


ちなみに、最強の魔法は多分「ミラール」。呪文を跳ね返す魔法です。

これ、敵の魔法は跳ね返すのに味方の補助魔法は跳ね返さないという超便利スキル。

これを全員にかけておけば、ラスボス達のいやらしい状態異常魔法も全部跳ね返してくれる優れものです。



頓してください

魔法は24個、道具に至っては60個まで持てるこのゲーム。

しかし魔法・道具共に取った順でアイテム欄に格納されてしまいます。

1個目の欄はポーション、でもハイポーションは30個目なんて並びになることも。

一応、手動でソートできるようにはなっているんですが、

アイテムを入れ替える事しかできず、「挿入」の操作がありません。

例えば、2番目のアイテムと6番目のアイテムを交換することはできますが、

2番目と3番目の間にアイテムを入れることはできないのです。


これができないと、ポーション・ハイポーション・補助アイテム…と並んで居るとき、

新たに入手したエクスポーションをリストの3個目に入れようとしたら、

そっから下のアイテムを1つずつずらしていくという途方も無い作業が必要になります。


どうして、自動整頓を作らなかったんだ…



てしない、お遣い

このゲームを確実につまらなくしている要素、それはお遣い。

主人公の目的地が、4つぐらい先の村なのにもかかわらず、行く村行く村で何かのもめ事が起こっていて

そのもめ事を解決するまでは次の村に進めないというシステムです。

っていうか、何故村の側に必ず洞窟(または塔)がある? 割合ほぼ1体1だぞ。

まぁ多少のお遣いぐらいならば、この幾多の(クソ)RPGをクリアしてきた僕ですから許容できるんですが、

これが街の数が27もあるとしたらどうでしょうか。

10を越えるぐらいまでは理性を保っていましたが、11〜19ぐらいまではもう地獄。

20を越えてからは「あっはっは、この街でも困り事かよ\(^o^)/」となんだか面白くなってきました。

これが解脱なんでしょうな…


では具体例を持って説明しましょう。

主人公達の冒険の大まかな流れとしては、


99年前に倒したはずの四狂神が復活したことを知る



四狂神に詳しい、99年前の勇者の生き残りを捜す



生き残りから、デュアルブレードが必要であると知る

デュアルブレードは、99年前の戦いで海底に沈んだ虚空島にある



ある研究所にいき、潜水艦を借りる



虚空島でデュアルブレードを入手するも、虚空島浮上



潜水艦を飛空船に改造し、虚空島へ行きラスボスを倒す


これだけです。自分でもびっくりするぐらい少ないですね。

でも「潜水艦を借りる」というイベント一つとっても、


------------キリトリ(長いので読み飛ばしても可)---------------


・研究所行くまでの洞窟で不思議な力が働いていて通れない(通り方を爺さんに教えてもらう)

・研究所に行っても博士は留守、アルスという街に行ったらしい(この『行ったが留守』はこのゲームにおける黄金パターン)

・アルスの街に行くための洞窟の橋が壊れていて進めない

・オーデル城にいる建築家、橋を直すには一人じゃ無理だからライデン村にいる助手を連れてきてくれ ライデンへ

・ライデンから助手を連れてきたら、今度は「橋の状態を確認してきてくれ」 橋へ

・橋の状態を確認後、やっと修理に行く建築家

・しかし修理の際、あそこの崖の上でみててくれと違う洞窟に入るハメに

・修理終了、アルスの村へ到着。でも博士はナゲキの塔にいるとのこと ナゲキの塔へ

・ナゲキの塔の頂上でアルスの長老と会話「博士はもう帰った」 研究所へ

・研究所に戻り博士に会う

  でも潜水艦は未完成で完成するには助手が必要、バクウという村にいるとのこと バクウ村へ

・バクウ村に着いたら助手はいにしえの洞窟にいるとの情報が(無駄なたらい回しもこのゲームにおける黄金パターン)

・いにしえの洞窟から助手を連れてくると、今度は「完成にはアルミナが7個必要」とのこと

・アルミナに詳しい人間がリンツ村にいるが、リンツ村に行くには光の塔を通らないといけない

・リンツ村の洞窟の奥で、その専門家…のお友達にばったり。専門家は違う洞窟にいるとか

・ロアールの洞窟で専門家に会い、アルミナのある場所を聞き出す

・ウルップの洞窟でアルミナ回収

・へラートの洞窟でアルミナ回収、この時点でアルミナ6個

・最後の1個をもっている、へラートの王様に会いにいく

・王様「美味いものを持ってきたらくれてやる」

・「味覚を変えてなんでも美味しくなる魔法のスパイス」を作るためにへラート東の洞窟へ

・王様「うめぇwwwww」アルミナ7個目回収

・アルミナ7個揃ったので研究所に戻るが、また博士留守。博士の息子が海賊にさらわれて、海賊のアジトへ行ったらしい

・博士の息子を助けに海賊のアジトへ

・ねんがんの せんすいかんを てにいれたぞ!

----------------- キリトリ(ここまで)----------------------


ね? エニックスも真っ青なこのお遣いの量…!

しかもこれでいて、敵とのエンカウント率はかなり高めで、しかも戦闘がトロいので

本当にやってられません。

エミュレータで、5倍速にしながらやることを推奨します。



銭収集行為手当

果てしなく続くお遣いイベントの1つ、メダンのお城。

ここは、願いが叶う「願いのルビー」ってものを公開してる城です。

願いのルビーの周りは噴水で囲まれており、人々は願いを叶えるために小銭を噴水に投げています。

さながら、映画ローマの休日のトレビの泉のシーンのようですね…


しかしこの城の地下に行くと…噴水の中に入って金を集める兵士が。

そしてそれを見て悲しい表情を浮かべるお姫様。

そのまま会話を立ち聞きすると…


どうやら、この小銭集めが国の重要な財源であるらしいのです。


え、馬鹿なの?


この願いのルビーは真っ赤な偽物で、実はただの赤いガラス玉。

この国は、昔は宝石が取れたんですが、今は鉱山が枯れてしまい、

苦肉の策でこの「偽物ルビーで金収集」をやってるそうな。

どうして誰か一言、「やり方、間違ってるよ」と言ってやれなかったのでしょうか…

こんな国、イヤだ。



制難易度調整

デュアルブレードを入手したら攻撃力が2倍ぐらいに跳ね上がったという素晴らしいゲームバランスなのですが、

こうなってしまうと当然、難易度が低くなってしまいました。

どうするのかなーと思ったら、イベントでデュアルブレードをヒロインに盗まれた後、

実はヒロインは四狂神のうちの1人の化身だった!(※ ネタバレだよ)」ということで

序盤からずっと仲間だったヤツがPT脱退といういささか強引な難易度調整が行われました。

そっから、最後のボスの最終形態までパーティーは3人です。うーん、なんだかなぁ…



ッピーエンドを醸し出してるけど実際はどうなの?

= 以下ネタバレ =

前述のネタバレ部分の通り、ヒロインが実は四狂神が作り出した化身だったので

パーティーから脱退し、四狂神だった頃の記憶も徐々に取り戻して敵となります。

でもラスボス手前で、主人公と過ごした9年間の記憶が蘇って味方になります。

そしてラスボス戦後、「このまま私が生きてるとまた四狂神が復活するから殺して」と言ってきて…

当然、主人公は渋るんですが、剣が勝手にヒロインに突き刺さりヒロイン死す。


そっから1年後、傷心の主人公は世界中をフラフラしていると、アルスの村でヒロインが。

なんでも、長老が最後魔法の力でヒロインをこの村に転生されて蘇生したとか。

都合の良い事に、デュアルブレードが四狂神としての能力とついでに記憶も消したんで、

敵になることはない。あと生活に必要な記憶は長老が適当に植えておいたとか。


そのヒロインをみて安堵する主人公。

ヒロインに記憶が無いんだけど主人公は「思い出はまた作ればいい!」と前向きな事を言って

物語は終わります。ハッピーエンド風なBGMとともに。


いいのか? 現時点では赤の他人なんだぞ…しかも記憶いじられてるぞ…

なんとなく、みどりの日々のオチを思い出しましたとさ。



は…

エストポリス伝記は、2が面白いらしい。

2は、99年前に虚空島で四狂神と闘った人たちの話らしいです。

…でも実は、1のオープニングが、その99年前のパーティーを操作して四狂神を倒す、

というところから始まっているので…

四狂神を倒したあと、ヒロインが死ぬってことがすでに判明してるのです。

賢い人は、2からプレイする。



とまあそんな感じでほとんど苦行だったんですが、たま〜にある突っ込みどころ満載な

イベントが面白くてついクリアしてしまいました。

特に99年前のパーティーの生き残り、ガイの死に様は最高です。


まあ僕がファミ通のクロスレビュアーだったら、2点を付けますけどね。



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